クリーンルームのクラス(清浄度)とは?ISO規格と業種別の選び方

1. クリーンルームのクラス(清浄度)とは

クリーンルームのクラスの基本概念

クリーンルームのクラスとは、空気中に浮遊する微粒子の量によって定められた清浄度のレベルを示す指標です。クリーンルームは、製造工程で製品に異物が混入することを防ぐために、空気中の塵や微生物を厳密に管理した特殊な空間です。このクリーンルームの清浄度を数値化したものが「クラス」であり、数値が小さいほど清浄度が高く、より厳格な管理が求められます。例えば、クリーンルームのクラス1は最も清浄度が高く、数値が大きくなるほど比較的清浄度が低い環境を示します。製造する製品の種類や品質要求によって、必要なクリーンルームのクラスは異なります。

なぜクリーンルームのクラスが重要なのか

クリーンルームのクラスを適切に選定することは、製品品質の確保とコスト管理の両面で重要です。半導体や医薬品など、微細な異物混入が致命的な品質問題を引き起こす製品では、高いクラスのクリーンルームが必要です。一方、必要以上に高いクラスのクリーンルームを建設すると、建設費用や運用コストが大幅に増加します。クリーンルームのクラスが1段階上がるごとに、設備投資や空調・フィルターの維持費用が増加するため、自社製品に必要十分なクラスを正確に見極めることが重要です。

2. ISO規格によるクリーンルームのクラス分類

ISO 14644-1規格の概要

クリーンルームのクラスは、国際標準化機構(ISO)が定めたISO 14644-1規格によって分類されています。この規格は、世界中で広く採用されており、クリーンルームのクラスをISO Class 1からISO Class 9までの9段階に分類しています。ISO規格によるクリーンルームのクラス分類は、1立方メートルあたりの空気中に含まれる0.1マイクロメートル以上の粒子数を基準としています。

主要なクリーンルームのクラスと粒子数基準

クリーンルームのクラスごとの粒子数基準を理解することで、自社に必要な清浄度レベルを判断できます。ISO Class 1は最も厳格なクラスで、超精密な半導体製造などで使用されます。ISO Class 3~4は、半導体製造や精密電子部品の組立に適したクリーンルームのクラスです。ISO Class 5~6は、医薬品製造や医療機器の組立など、中程度の清浄度が求められる用途に使用されます。ISO Class 7~8は、食品製造や一般的な電子部品の組立など、比較的清浄度要求が緩やかな用途に適しています。

3. 業種別に求められるクリーンルームのクラス

半導体・電子部品製造業

半導体製造業は、最も高いクリーンルームのクラスが求められる業種の一つです。最先端の半導体製造では、ISO Class 1~3の超高清浄度のクリーンルームが必要とされます。電子部品の組立工程では、ISO Class 5~7のクリーンルームのクラスが一般的です。製品の精密度や用途によって必要なクラスは異なりますが、高性能な電子機器ほど高いクリーンルームのクラスが要求されます。

医薬品・医療機器製造業

医薬品製造業では、製品の種類によって求められるクリーンルームのクラスが異なります。注射剤などの無菌医薬品の製造では、ISO Class 5~7のクリーンルームが必要です。医療機器の製造では、体内に埋め込む機器や手術用器具など、用途によってISO Class 6~8のクリーンルームのクラスが使用されます。医薬品・医療機器業界では、法規制や業界基準が厳格であるため、適切なクリーンルームのクラスの選定が不可欠です。

食品製造業とその他の業種

食品製造業では、製品の種類や製造工程によって必要なクリーンルームのクラスが異なります。乳製品や調理済み食品の製造では、ISO Class 7~8のクリーンルームが使用されることが多いです。化粧品製造業では、ISO Class 7~8のクリーンルームのクラスが一般的です。その他、精密機械の組立や光学機器の製造など、異物混入を防ぐ必要がある業種では、製品の精密度に応じたクリーンルームのクラスが選定されます。

4. クリーンルームのクラスと建設コストの関係

クラス別の建設費用と運用コスト

クリーンルームのクラスによって、建設費用は大きく異なります。一般的に、クリーンルームのクラスが1段階上がるごとに、建設費用は1.5倍~2倍程度増加すると言われています。ISO Class 8のクリーンルームの建設費用を基準とすると、ISO Class 7では約1.5倍、ISO Class 6では約2~3倍、ISO Class 5では約3~5倍の費用がかかります。また、高いクラスのクリーンルームほど、空調システムの稼働時間が長く、電気代が高額になります。HEPAフィルターやULPAフィルターの交換頻度も高くなり、メンテナンス費用が増加します。

コストと品質のバランスを取る

クリーンルームのクラス選定では、コストと品質のバランスを取ることが重要です。必要以上に高いクラスを選定すると、過剰な投資となり、企業の収益を圧迫します。一方、不十分なクラスでは、製品の品質問題や顧客要求を満たせないリスクがあります。最適なクリーンルームのクラスを選定するには、製品の品質要求、業界基準、法規制、顧客要求などを総合的に分析し、必要十分なレベルを見極めることが重要です。
 

― ヒカリならではの強み ―

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クリーンルーム工場は、単に清浄度を確保するだけでは成り立ちません。
入場時の動線を考慮した更衣室計画、資材搬出入時の圧力管理とエアーシャワー設計、そして製造現場における永遠の課題である防虫対策まで・・・。
私たちは設計段階から運用を見据え、「現場で本当に機能するクリーン環境」をご提案いたします。過去の経験で得た知見を惜しみなく共有し、お客様とともに最適な工場づくりを実現いたします。

5. 自社に最適なクリーンルームのクラスの選び方

製品要求と業界基準の確認

自社に最適なクリーンルームのクラスを選ぶには、まず製造する製品の品質要求を明確にすることが重要です。製品の仕様書や顧客要求を確認し、どの程度の清浄度が必要かを把握します。また、業界団体が定めるガイドラインや、競合他社の事例も参考になります。医薬品や医療機器など、法規制がある業種では、関連法令を遵守できるクリーンルームのクラスを選定する必要があります。

専門家への相談と適切な業者選定

クリーンルームのクラス選定は、専門的な知識が必要な複雑な判断です。建設会社やクリーンルーム設計の専門家に相談することで、自社のニーズに最適なクラスを提案してもらえます。専門家は、製品の特性、製造工程、予算、法規制などを総合的に分析し、最適なクリーンルームのクラスを提案してくれます。また、クリーンルーム建設の実績が豊富な業者を選ぶことで、設計から施工、清浄度測定まで、一貫したサポートを受けられます。

6. まとめ

クリーンルームの建設においては、製品の品質要求や業種の基準に基づき、必要十分なクラスを適切に見極めることが、過剰投資を防ぎコストを最適化する鍵となります。清浄度の確保だけでなく、動線や防虫対策など運用面まで考慮した機能的な設計が求められるため、専門的なノウハウが不可欠です。ぜひ本コラムを参考に、確かな実績を持つ専門業者へ相談し、自社に最適なクリーン環境の構築を成功させてください。
 
ヒカリは創業70年以上で培ってきたノウハウや、工場建設における豊富な経験を活かし、企画・計画段階から工場建設完了までの全体のスケジュール管理、コスト管理、品質管理に優れ、プロジェクトを予定通りに進める体制が整っています。また、香川県での豊富な工場建設の経験やノウハウを持つ協力企業と施工後も情報連携しながらサポートさせていただきます。是非一度お気軽にご相談ください。

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